光山税理士 |
「ああ、山本さん、羽田議員から電話で、聞きました。新たに事業を始めるそうで、早速、計画に、取りかかりましょう。」 |
それから、住まいやら、家族やら、仕事の内容などを聞かれて、いよいよ、事業計画ということになった。 |
光山税理士 |
「お仕事の内容からすると、営業が大事になりますね。とすると、個人企業より、会社の方が良いでしょう。名刺一つにしても、信用が違いますから。」 |
山本さん |
「そりゃ、そうです。で、会社、作るんですか。」 |
光山税理士 |
「ええ、株式会社になります。と言っても大会社と同じ扱いでは大変ですから簡便な方法がとれる閉鎖会社です」 |
山本さん |
「と言うと、どんな?」 |
光山税理士 |
「株式を譲渡するときには会社の承認を得なければ出来ないように決めておけば良いのです。会社を作るには少々費用がかかりますが、いいですか?」 |
山本さん |
「それは、仕方がありませんが、どの位?」 |
光山税理士 |
「資本金は、今では、一円でも会社を設立出来ますが、でも、事業を始めるにはどっちみち資金がいるわけで、それを資本金という形にすると考えて、やはり、三百万円位は、有った方が良いでしょう。その他設立費用に大体、三十万円位かかります。」 |
山本さん |
「合計で三百三十万円か。そんな金あるかなあ。」 |
奥さん |
「定期預金を、みんな、おろしたらどう?」 |
山本さん |
「そうか。よーし、何とかかき集めよう。それで、あと、どうやって作るんです?」 |
光山税理士 |
「手続きは専門家に頼みましょう。司法書士の小森先生を御紹介します。この紙に、必要事項を、書いて下さい。」 |
山本さん |
「(設立事項チエックリスト)とありますね。商号と言うのは会社の名前ですか。」 |
光山税理士 |
「そうです。会社法が出来る前は類似商号のきまりがあって同じ地区に同じ目的で同じような名前の登記はできませんでしたが今は自由になりました。それでもまさかトヨタやソニーなどは他の法律で規制されて使えませんから、まあ独自の特徴ある名前が良いですね」 |
山本さん |
「何て名前にしょう。」 |
奥さん |
「名は体を現すと言うからしゃれた名前がいいわね」 |
山本さん |
「アケボノ・インテリアなんてどうだ」 |
奥さん |
「そんな名前の横綱いたわね。でも良いんじゃない」 |
山本さん |
「本店―之はとりあえず自宅にしておこう。目的―インテリアの仕事だから内装工事業かな。取締役―之は誰がなるんでしょう」 |
光山税理士 |
「山本さん御主人一人で良いです。奥さんは一般従業員ということで。」 |
山本さん |
「営業年度って、何ですか?」 |
光山税理士 |
「一年に一度、何月に決算するかです。」 |
山本さん |
「今、七月だから、七月でいいです。」 |
出資は、山本さんと奥さんの、二人の定期預金をおろして、それを、夫れ夫れの株式とすることにした。 山本さんは、このチエックリストに、山本さんと奥さんの印鑑証明書、そして設立費用の三十万円を持って小森司法書士を訪ね、早速、設立手続きをして貰った。 そのまに、会社の実印を作った。 |
山本さん |
「大きな印鑑だな。」 |
この印鑑と個人の実印を持って、小森司法書士の所へ行くと“定款“その他の書類が出来ていた。 |
山本さん |
「定款って、なかなか、立派なものですね。」 |
小森司法書士 |
「定款は、会社の憲法です。」 |
山本さん |
「へぇー、憲法ですか。だから立派なんだ。」 |
表紙の裏に四万円の収入印紙が貼ってある。定款その他の書類のあちらこちらに、印鑑を押して、先ず、公証役場で、定款の認証を受けた。 |
小森司法書士 |
「認証が済みましたから、銀行に資本金の三百万円を入金して、残高証明を貰って下さい。」 |
山本さん |
「はい。」 |
山本さんは、奥さんと、二人の定期預金三百万円をおろして、銀行に預け引き替えに残高証明を受け取る。 |
小森司法書士 |
「これで、登記ができます。補正がなければ、申請書提出の今日が設立の日となります。」 |
一週間程たつと、光山税理士から電話がかかった。 |
光山税理士 |
「小森先生から、設立手続きが完了したといって、書類が届きましたから来て下さい。」 |
行ってみると、定款の原本、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)と、印鑑証明書が揃えてあった。 |
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山本さんは税理士や司法書士の協力を得て会社を設立することができました。
いよいよスタートです。次の展開はどうなるのでしょう。
2011年7月公開の「事業計画」をご期待下さい。
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